絵師向け 画像生成AIと言われないまとめ
絵師、絵描きさんにむけて!
手描き絵を「これAI絵?」と言われないためにできる対策まとめ(X編)
2024/06/13現在
☆最初に
①プロフィールに「生成AI不使用」「No Gen AI」
②生成AI使用不可のサイトへの登録
「Xfolio」「skeb」「Cara」
③投稿画像のサイズ、解像度を小さくする推奨HD780×1280、dpi150以下
絵を保護する
「glaze」「misuto emamori」「naightshade」
④目立つ場所に大きくサインを入れる
☆最初に
そもそも、なぜAI絵と言われたら嫌なのか?を一度考える。
「手抜きと思われたくない」「よくない技術だ」「使うと嫌われる」「周囲から悪い評価を受けたくない」「周りに合わせて悪いと言っている」「本当は使いたいけど我慢してる。なのに疑われるのはむかつく」
どれでもいい。自分はどれなのか考える。
自分の中の「嫌だ」の感情の種類を知っておこう。
生成AI技術の、大規模言語モデル(LLM)にはいくつも種類があり、今取り上げているのはStable diffusion(ステイブル・ディフュージョン)、SD(通称エスディー)が元となった画像生成AI群の話。だが他にも生成AIはたくさんあり企業で真面目に開発されたものもある。大体生成AIとは名乗っていないが。
先日Xで生成AIのアートスクールの看板が問題になったように、一般の人もざっくりと「生成AI」を問題とする向きが強い。普段絵を見ていない人にも関心が強いことをよく理解しよう。
前述のとおり生成AIも色々あるので誤解も生まれやすそう。何かあったら対応には問題の切り分け、誤解の解消なども必要になる。時間と知識と労力が必要になる。ちょっと大変すぎる。
ので最初から疑いを持たれないのが一番いいので予防線をいっぱい用意した。
どれも既に知られている&使用されている事なので今更かもしれない。必要に合わせて選んでほしい。
また他人への生成AI指摘は慎重にしよう。とても難しいことだからだ。すごく問題があったら親しい人に相談して、さらに詳しい人にたずねてから行動を起こそう。それらは心に留めておいてほしい。
では、以下からXをメインの活動場所にしている人がやることのまとめをご紹介。
①まずはっきり使っていない事を書く。英語でも書く。否定は大事。
生成AI学習禁止の文字を入れるのはメジャーになったが現在はさらに強く「使っていない」も書いたほうがいい。
Gen AI=generative AI(ジェネレーティブAI)=生成AI。日本語外の人はこれがあるかないかで判断する。
litlink(リットリンク)などで活動先をまとめている場合も「No Gen AI、xfolioリンクor Caraリンク」だけでもプロフィールに書くと他の人が確認しやすい。
生成AI不使用、No Gen AI、AI学習禁止、無断転載等無断使用禁止、と絵描きの人がよく使う文字をプロフィールに入れるとそれだけで埋まってしまう。でもそれだけ価値のある物を自分は作っていると考えよう。各自で必要なものを選択してプロフィールに書こう。
注意点!
絵に使う素材サイトは生成AI画像がかなり混ざっている。無料のものは全部そうかも?くらいの気持ちでいいと思う。有料の素材も怪しいものが多い。Adobe stockはAI製の物が多すぎて問題視されている。生成AI製を避けるなら素材も作製、配布元をよく確認しよう。
生成画像を比較対象や話題として使用する時はサイトのクレジットを消さず、「gen AI」「AI画像」を画像に書いて他の画像とは違うことを示そう。予防線のひとつにもなる。
②不使用の証明として外部サイトを利用する。
生成AI禁止のサイトに登録して普段から絵に使っていないアピールをしよう。どれかだけでも◯。
xfolio(クロスフォリオ)…日本製の創作サイト。Xアカウントで登録可。使いやすい。https://xfolio.jp/
skeb(スケブ)…有償お題箱。Xアカウントで登録可。クリエーター登録を https://skeb.jp/
Cara(カラ、カーラ)…英語アプリ。創作者sns。Glazeが使える。アプリストアから
https://cara.app/
※skebは登録だけでは特に何もないが、納品が発生すれば部分的でも生成AIは使用禁止で、不使用の証明になる。また絵描きアカウントと判別がつきやすい。
③投稿する絵のサイズを小さく低解像度にして、生成AIに学習されにくい絵にする。
スマホからはほぼ変わらない。学習拒否と生成AIを警戒していることが一緒に表現できる。HD780×1280、dpi150以下のサイズに。さらに小さいVGA480×640以外サイズは学習データから弾かれるらしい。glazeなどノイズをかけるとより◯。全体に透かしを入れる、sampleの文字を入れるなど対応は様々ある。よさそうなのをいくつか試してみよう。
絵を保護する
「glaze」「mist(emamori)」「nightshade」
glaze…グレイズ。シカゴ大学で開発された学習防止プログラム。最も初期から開発されたもの。DL版、Web版、Caraアプリ版と種類がある。各自のPCに保存して使うDL版がおすすめされるが容量が大きいので、自分の環境に合わせよう。Caraアプリ版はまだテスト状態なので処理に長い時間がかかる。登録制だがweb版の方が処理が早いので、申請しておくといいだろう。
glaze HP https://glaze.cs.uchicago.edu/
web glaze https://glaze.cs.uchicago.edu/jp/webglaze.html
Cara cara.app/home
mist…ミスト。上海交通大学で開発された生成AI学習防止プログラム。アイビスの有料プレミアムに搭載されたものこれ。
DL版、日本語だとemamori(えまもり)サイト上からもかけられる。DL版はglazeと同じで容量が大きいので自分の環境に合わせよう。emamoriは無料でバーション1が利用できる。有料でより見た目のノイズが少ないバーション2が利用可能。
huggingfaceからDL
Windows版
https://huggingface.co/mist-project/mist-win/tree/main
emamori
ibispaint(有料プレミアムのみ)
nightshade…ナイトシェード、ナス科の有毒植物ベラドンナなどの英名がついた上記のシカゴ大学のチームで開発された「阻害」プログラム。そのまま「毒」の意味。画像に生成AI用の毒情報を仕込む。たくさん学習すると生成画像が崩壊するらしい。この種類のプログラムはまだnightshadeしかない。 DL版があるが、とても容量が大きく処理も重いのでPCに詳しくて環境も整っている人向け。だが出来る人は積極的な使用が推奨されている。glazeとは方向性の違うので併用をすすめられている。毒情報を加えることを「情報汚染」と悪く言うひともいるが勝手にデータ学習しなればいいのであまり考慮しなくていい。自分の画像の保護は文化庁でも認められている。Caraに実装予定がある。
nightshade DL https://nightshade.cs.uchicago.edu/downloads.html
保護をかけるのは手間で見栄えが悪くなるときもある。それでも使っているのは自分できちんと画像を守っていることや生成AIを否定していることにつながる。自分の環境に合ったものを選ぶ。どれをどの絵に使ったかは生成AI側の学習、解析の元になってしまうので言わない。
1次創作でも2次創作でも保護はかけよう。そこに違いはない。データ収集されるときに2次創作だからと加減してくれるなんてことはない。問答無用に引っこ抜かれるので防御しておこう。
④サインを必ず入れる。
大きく分かりやすいサインは生成AIに通しても復元されやすい。またトリミングで切り取れない場所にあるサインは転載でも嫌われるので、生成AI、無断転載使用の両方の対策として有効。キャラクターの横や上、絵の中央など目立つ所に。慣れればそんなに気にならない。日付も入ると◯。落書きでもアップするものは必ずサインを。
大事な絵の見た目を多少変えなくてはならないのに、必ず目立つ場所や大きなサインを入れている→無断転載や生成AIを意識している、拒否しているの表明になる。
①-④まとめ
ここまで長らく読んでくれてありがとう。
こんな面倒くさい文章を読み、さらにオススメの面倒くさい対策をしたとする。さらにさらに新しい絵を上げる度にサイズだなんだと面倒くさいことをする。そんなのかなりの労力だ。
しかしこれらの半分くらいは他人に文句を言わせない為のものじゃない。
言われた時に『いやプロフにも書いてサイトも登録して、絵を仕上げたあともフィルターとかわざわざ付けて出してるんだけど。そんなに労力かけても出したかった大事な絵が生成AIなわけないだろ。違うから!』と切り替えるためのものだ。
対策をやったからといっていやがらせが0になるわけじゃない。でも受け止める心持ちが違う。「んなわけねーじゃん!」で受け取らないでいられる。
そして上記のような対策を日々していた人に外野からヤジが飛んできても、いつも見ている人は「いや違うと思うよ?いつも対策とかしてる人だし?」と思ってもらいやすい。それだけの方法だ。なのでお守りの範囲を出ない。それでも嫌がらせを受けた時にショックで動けなくなってしまうのを少しは防ぐかもしれない。シュミレーションと予防はとても大事。転ばぬ先の杖、これらはそういう性格の対策だ。だから何をすればいいのかは、読んでくれた人が決めてほしい。
そして今回書いた対策を私は画像サイズ以外は全部やってる。サイズは最近知ったのでやっていなかった。ごめんよ。
普段リプライやDMを受け取らない、匿名のマシュマロなどを使わない、注目を集めやすい二次創作をやっていないと関係のない他者からの言葉を受け取らない環境もものを言う。
そういったことを積み重ねて、今後もし疑惑を持たれても、とても簡単に「そんなことしてないよ。失礼だな、ブロックブロック」と対処しやすいだろう。
だからお守りみたいな対策でも案外効果はあるかと思う。
さらに本音を足せば、今の生成AIが出た時に開発企業も私たちも「生成AI製、Gen AIの文字を出力物に必ず付けなくてはいけない!ディープフェイクはダメじゃないか!」と否定して規制をかけられなかった。そこが大きな失敗だった。
もちろん誰にもできることではなかったから、結局、世界中に無記名の生成AI物が広まってしまったわけだけれど。
世界中の誰も阻止できなかったことだ。だからそんな無理な事を今更書かなくてもいいよ、と思ってくれるかもしれない。けれど生成AIの開発自体が研究目的であったのだから、マーク付けを一生懸命考えられなかった関わりのある大人がいけない。
後から技術に触れた人々にその責任はない。だから、今回これを書いた。
ごめんね、君らはほとんど悪くないのにこんな面倒をかけて。本当にすまない。
これからの世の中がいい方に進むように一緒に努力してほしい。絵を好きでいてほしい。絵の練習を少しでも安心して続けてほしい。がんばろう、私も頑張るから。
ごめんね、不甲斐ない大人ばっかりで。
さらに補足で疑われた時のことを書いたので、気になる人は読んでほしい。
でもいったんはここまで。おつかれさまでした。対策やってみてね。
+補足⑤言われないようにするために、それでももし言われてしまったらすること
言われないようにするために
生成AIが知名度を上げて誰でも使える機能となった今、絵に関わりがある人だけが「生成AI使ってるだろ!」と言ってくるわけではない。
嫌がらせで絵に詳しくない人が言ってくる事の方が多いはず。
スマイリーキクチ中傷被害事件などを調べてみよう。匿名の中傷に動機も理由も特にない。あるとすれば「目に入ったから」「目立っていたから」。
なのでパッと見で反応できるアクセス先を用意しない。これがかなり有効だ。
Xのリプライ欄は閉じる、鍵アカウントにする、プロフィールにメールなどを載せない、マシュマロなどを利用しない。
だが同時に交流も絶たれるので、絵描きとしたら死活問題になる。どの範囲まで交流を許すかはその人次第だ。だが外部からのストレスに弱めの人はX以外の連絡先は公開せず、マシュマロとXのリプライは閉じてもいいのでは?と思う。依頼はskeb、ココナラなど企業サイトを利用しよう。
それでも「嫌なメッセージが届いてしまったら」?
内容の確認→発言者の確認→距離を置く→対応の確認→措置の確認 をしよう。
内容の確認…単純に「AI絵使ってますか?」ならその後も個人で確認できる。しかし「お前はAIを使っている、許されない、お前を害する」みたいな犯罪の予告が来たら恐怖と危機感を強く持ち、第三者に確認に入ってもらおう。最初にビビりちらしておくのがいい。AI絵使ってますか?の時から友達と一緒に確認でもいいだろう。1人で抱えるとダメージが大きいので避けよう。
発言者の確認…アイコンが生成AI製ではないか?Xならば普段活用しているアカウントか?日常の発言が悪口ばかりではないか?他人の画像をいっぱい使っていないか? このくらいやれば「あーこういう人」が分かる。たぶん。すごくヤバい人だったらその場で諦め他の人に確認してもらおう。
距離を置く…そこそこ変な人だな、くらいならブロック一択。余地はない。内容なぞ知らん。それで終わることがほとんど。
かなりやばい人、他者と相談しつつブロック。その後の確認も必ず他者同席でやる。恐怖は正しいが生活を送るのが困難になってはいけないので、公的機関へ相談を考える。
すごくやばい人、明らかに犯罪、などは迷わず他者と一緒に警察と他の公共機関に相談を。距離の置き方は相談しつつ行おう。
相談窓口
地元の警察署(できればITなどの問題を扱う場所に)
文化庁相談窓口 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/madoguchi/index.html
詳しくまとまっているwikiなども参考に
https://w.atwiki.jp/genai_problem/pages/40.html
必ずしも求めていた解決策がすぐ見つかるとは限らない。だが何かあった時に参考に。
これらが杞憂になるならそれが一番いい。変な被害にもあわないし、変な人にも声をかけられない。疑われもしない。
「これをまとめた人被害妄想がひどくない?」と言われるくらいでちょうどいいと思う。自分もこんなひどいことが実際にあるとは思いたくない。被害にも全くあわないと言い切りたい。だが残念、どれも現実に起こったことを考えながら書いた。「生成AI 被害」とgoogle検索して出てきたものを見てみるともっとひどいことがある。現状はあまりすばらしくない、が事実だ。
そして今回はlora問題や特化モデルについては省いた。
それはかなり深刻だし長く活動している人になればなるほど完璧な防御が難しいからだ。また嫌がらせからそれらを作られるより「便利だから作った」という場合の方が多いからだ。
その一例として、生成AIのweb上の無料~安価で利用できて多くユーザーいるサイトを紹介しよう。
PixAI https://pixai.art/
モデル、loraの項目をよく見て欲しい(NSFWもあるので18歳以下の人は非表示にして見てね)。「ひえ」と声が出るような惨状だ。もちろん誰も著作権なんて無視している。全てに悪意があると言えば違う。だが意識が高く作家の生活や功績を考えているかといえばそれもまた違うだろう。個人利用の悪用の見本のような場所だ。
しかしこの手のサイトはここだけではないし、個人のPCにDLして自由に使えるようにしているものもある。問題は根深く、ユーザーは多い。なので私はこれを書いた。私より詳しくよりよい対策を知っている人もいるだろうが、生成AIユーザーが星の数ほどいるのに描き手がそういった情報にアクセスしにくい場合も多いので、まとめてみた。
これで少しでも嫌な思いをする人が減りますようにと祈っている。書いてある内容で分からないことがあれば、まずは調べてほしい。どれも情報量が多い。それでも分からなければXで私に問いかけてくれて構わない。この一連のポストはリプライを開いているので利用してくれればと思う。難しいことで答えられなかったらごめんね。
またこのまとめでは他の文章、音声、映像の生成AIについては書いていない。それらの特化した対策は今のところあまりなく、また今回のまとめに入れても混乱させるだけかと省いた。だがそれらも大変問題がある。画像と同じく関心を持ってくれたらとても嬉しい。
生成AIに関して注意や規制などの行動をしてくれる人は多い。目に見えた行動は難しくとも、その人たちを応援したり活動によく目を通してくれたらと思う。ただ特に画像に関しては個人で行動している人が多いので応援が必要な人が多い。個人個人なので主義主張は多少違う。それらも含めてなるべく複数の人たちを見てくれたらと思う。
それではまた、どこかでお目にかかれることを期待して。
2024/06/13 田中たみよ